2023年9月に行われた杉並区議会での一般質問と区からの答弁を共有します。
学童クラブの待機児童について
日本で、学童クラブが誕生したのは、1950年頃です。働く保護者の願いを元に、全国的に「学童クラブつくり運動」が広がったことが、淵源(えんげん)とされています。「保護者が働いている間でも、安全に放課後を過ごさせてあげたい。必要なものだから自分たちでつくろう」と始まった運動です。
当時、児童福祉法には、日中家庭に保護者がいない児童も保育所に入ることができる旨の規定はあったものの、実際には乳幼児だけで満杯になるなどの状況から、学童保育はほとんど行われていませんでした。核家族化の進行、共働き家庭の増加などで、学童保育を必要とする家庭が年々増えるなか、厚生省(現、厚生労働省)は留守家庭児童対策として児童館で対応することにしていましたが、学童保育ニーズの高まりから、これまでつくられてきた既存の学童保育所に対して自治体や国からも補助金が出るようになりました。
1997年に児童福祉法が改正され、学童保育が「放課後児童健全育成事業」として法制化されたことにより、自治体は学童保育の利用に関する相談・助言を行い、本事業を促進するよう努めなければならないこととなりました。その後、放課後子ども総合プランなどの法改正が行われ、学童クラブは仕事と子育ての両立のためには欠かせない施設としてこれまで発展してきました。
その間(かん)、我が国の合計特殊出生率は、1970年に2.13であったのが、80年に1.75、90年には1.54へと低下の一途を辿り、1995年以降は1.5を下回った状態で低迷を続けています。昨年は1.26で、過去最低だった2005年に並ぶ水準でした。
少子化が進むなかでも、学童クラブ数と入所児童数は年々増えており、厚生労働省の調査によると2022年5月現在、学童クラブの利用児童は139万2158人で過去最多となりました。それに併せて待機児童数も1万5180人と、前年より1764人増加しています。つまり、全国的に、子どもの数と反比例するような形で、学童クラブのニーズが、うなぎ上りで上昇し続けているのが、現在の状況です。
本区における学童クラブの実施状況としては、この5年間で登録者数が令和元年度の4605人から、2年度4851人、3年度4983人、4年度5490人、そして今年度は5860人と、着実に受け入れ人数を拡充してきました。にもかかわらず、本区の学童クラブの待機児童数はこの5年間で増加し続け、今年の4月1日時点で、280人となっています。
質問1)
待機児童の内訳について、発生している学童クラブ数と、地域により待機児童数に偏りがあるのかお示し下さい。また、区はこの待機児童が発生している要因について、どのように分析しているのかお答え下さい。
答弁1)
まず、待機児童の発生要因としては、共働き家庭の増加のほか、近年は、小学校児童数も増加傾向が続いていることがあげられるものと捉えています。 なお、令和5年4月1日時点で区の学童クラブは51所ですが、そのうち待機児童が発生したクラブ数は23所で、区内の各地域に点在しており、地域によって大きな偏りが見られる状況ではありません。
次に、待機児童解消に向けた学童クラブ整備に関するお尋ねですが、区では、小学校内や小学校近接地への学童クラブの整備や児童館諸室の転用などにより、受入れ枠の拡大に取り組んでおり令和5年度は、 宮前北学童クラブの新規開設のほか、児童館内学童クラブ4カ所で受入れ枠の拡大を図りました。また、令和6年度に向けては、小学校の改築に合わせた学童クラブ整備等を3所、児童館内学童クラブの受入れ枠拡大を1所、それぞれ行うための取組を進めているところです。一方で、学童クラブ需要は、今後も当面の間は増加傾向が続くものと見込んでおり、区では、今後も様々な方策を検討しながら、待機児童対策を進めてまいる考えです。
質問2)
区は総合計画において、2030年度までの取り組みの中で、待機児童0を目標に掲げていますが、具体的に今年度と来年度の受け入れ枠拡大に向けた学童クラブの整備状況はどのように進んでいるのかお伺いします。現状の整備計画で、総合計画に目標と掲げている待機児童解消に向けた取り組みが充分と考えているのか認識をお伺いします。
答弁2)
待機児童解消に向けた学童クラブ整備に関するお尋ねですが、区では、小学校内や小学校近接地への学童クラブの整備や児童館諸室の転用などにより、受入れ枠の拡大に取り組んでおり、令和5年度は 宮前北学童クラブの新規開設のほか、児童館内学童クラブ4カ所で受入れ枠の拡大を図りました。また、令和6年度に向けては、小学校の改築に合わせた学童クラブ整備等を3所、児童館内学童クラブの受入れ枠拡大を1所、それぞれ行うための取組を進めているところです。
一方で、学童クラブ需要は、今後も当面の間は増加傾向が続くものと見込んでおり、区では、今後も様々な方策を検討しながら、待機児童対策を進めてまいる考えです。
学童クラブ長期休みのお弁当について
子ども達にとっては楽しみな夏休み。一方で学校の給食がなくなることで、子ども達の昼食に頭を悩ませる保護者は多いと考えます。学童クラブに預けているご家庭は、フルタイムでの共働きなどのご家庭も多いはずです。
実際私のところにも、この長期休業期間中のお弁当作りが大変だと言う声が届いています。特に夏場は衛生面で不安だと言う声を多くいただきました。
私も、毎日子どもたちのお弁当を作っている一母親として、殺菌作用のある食材を積極的に取り入れる。生野菜などは控える。冷凍したものを保冷剤代わりにする。食材は素手で触らない。水分の多い食材や汁気が出るものは控える。などなど、夏場のお弁当作りには大変気を使います。
一方で、学童クラブの保護者の中には、お弁当作りが得意な方や、お弁当を作りたいと思っている方もいらっしゃると思います。その様な方々はお弁当持参を継続していただく。それでも、例えば体調がすぐれない時や出張があって忙しいという時などには、宅配サービスのお弁当が利用できると言う選択肢があれば、それは安心に繋がるのではないでしょうか。
NHKの調査では、今年の夏、東京23区のうち、すべての学童クラブでお弁当を提供した区は11区。一部の学童クラブでお弁当を提供した区は、本区を含めて12区と、学童クラブでお弁当を提供する自治体が広がっています。
質問3)
本区の学童クラブで、保護者有志の方に直接事業者と契約等を行う形で、長期休業期間中のお弁当の宅配サービスを導入している事例があると聞いていますが、今年の夏季休業期間中に、そのようなサービスを導入したクラブはいくつあったのかお伺いします。
答弁3)
区の学童クラブでは、保護者の有志が事業者と直接契約する形で配食サービスを利用しているクラブがあり、今年の夏休みには、 11所で配食サービスが行われたと聞いています。
他区では、区がお弁当の宅配サービスを事業者に手配する事例や、区が提供する事業者を決め、希望する保護者に宅配サービスを提供すると言う運用事例があります。私の周りの保護者からも、本区においても、こうした手法の導入を期待する声をいただいています。冒頭に述べたように、学童クラブは働くご家庭にとって欠かせない施設です。家庭の事情も多様化しています。お弁当を作る事が負担になるのであれば、その支援をする事はとても意義がある事なのではないのでしょうか。
質問4)
区では今後導入する予定があるのかお伺いします。
答弁4)
一部の保護者の方からは、ご指摘のあったとおり、区が配食サービスを導入することを求めるご意見を頂戴しているところです。
長期休業期間中の学童クラブは学校運営日に比べ多くの職員が必要ですが、新たに配食サービスを導入する場合は、弁当の受け取り等に対応するための職員が更に必要となります。しかしながら、現場の状況を伺うと職員の確保に苦慮していると聞いています。加えて、細かなアレルギー対応が必要となることも課題であると聞いています。
こうしたことから、現時点では、ただちに配食サービスを導入することは難しい状況であると考えていますが、子育ての負担軽減に取り組んでいくことは、必要であると認識しておりますので、他自治体の取組事例について情報収集をしながら、これらの課題解決に向けて、今後、研究を深めてまいります。
昨年、区では区内10のクラブを対象に、厚生労働省が定める「放課後児童クラブ運営指針」に基づいた運営がなされているかについての調査を行いました。調査の結果から、利用者の満足度については、どのクラブもおおむねかなり高い評価が示されていました。ひとえに、子ども達に関わる職員の皆様、そして関係者の皆様の努力のたまものと深く感謝申し上げます。
これからも本区の学童クラブが更に利用者の満足度を高め、より良い施設になるよう区の一層の努力を求めます。
高齢者住宅について
日本は世界でもまれにみる超高齢化社会です。人生100年時代ともいわれるようになり、社会の在り方もだいぶ変化しました。それに伴い、現在の社会の仕組みでは対処できない事柄も浮き彫りになってきています。
日本は現在、単身世帯が総世帯数の3分の1、約1800万世帯を占めており、2030年には単身高齢者世帯が800万世帯に迫る見通しとなっています。また、高齢者の単身世帯では年間収入300万円未満の世帯が8割以上を占めると言われています。
本区に於いては、高齢者の人口は直近の数字では12万191人。総人口の約21%を高齢者が占めています。そのうち75歳以上は、約55%と、同規模の自治体に比べて高齢化率そのものは低いですが、後期高齢者の割合が高いという特徴があります。そうした超高齢社会の到来に伴い、大きな課題となっているものの一つが高齢者の住宅確保です。
一般的に抱かれている印象の通り、高齢者は賃貸物件を借りにくいという現状は間違いなくあります。私自身、賃貸物件の引越しを余儀なくされた高齢者の方から相談を受け、地域の不動産会社を何件も訪ね、探し回りました。せっかく良い物件が見つかっても、高齢者という事で断られる。年齢ではじかれてしまう。この繰り返しでした。
出来ればこの住み慣れた地域にいたい。友人もたくさんいるこの地域を離れたくない。誰もが思う事なのではないでしょうか。私が相談を受けた方は、結局引越し先の物件が見つからず、残念ながら、杉並を離れて行かれました。住宅に関するご相談は、お一人ではありません、私が区議会議員になってこれまでの短い期間で、既に何人もの方々から同様の相談を受けています。深刻な状況であることは間違いありません。そういう私自身も、区内で父親の住まいを探す際、同様に大変苦労をした経験があります。
なぜこうも高齢者が賃貸物件を借りにくいのでしょうか。スムーズに借りるためにはどうすればよいのでしょうか。高齢者の入居を躊躇するオーナー側が不安に思う事は主に2つあるようです。
1つ目に、高齢者は健康面から部屋の中での事故や、孤独死のリスクをどうしても背負っています。入居時には元気だったとしても、住み始めてからしばらくして体調が悪くなることも想定されるため、入居を断られる傾向にあります。なかでも単身の高齢者の場合はもしもの際の発見が遅れやすいため、入居が難しい場合が多いようです。
2つ目に、金銭面からの不安も入居を断られる要因となっているようです。高齢になると、定年退職をされて年金での生活になっている場合がほとんどです。年金での生活は十分な収入が見込みづらく、オーナー側としては不安に思う要因の1つとなっています。
杉並区住宅基本条例では、「良好な住環境の下で、良質な住宅が確保され、区民一人ひとりがゆとりある住生活を主体的に営むことができるようにすること」を定め、区の住宅マスタープランでは、「誰もが安心して住み続けられる良好な住環境の実現」をめざし、住宅セーフティネットの再構築を進めるとしています。
そして、高齢者等の賃貸物件へ円滑な入居を促進するため、居住支援協議会と協力して進めている、高齢者等アパートあっせん事業や、高齢者等入居支援事業を実施しています。
質問5)
高齢者等アパートあっせん事業や、高齢者等入居支援事業について、その開始時期及び事業概要をお伺いします。また、高齢者等アパートあっせん事業の過去3年間の申請件数と成立件数、その内訳として高齢者世帯の状況をお伺いします。
答弁5)
高齢者等アパートあっせん事業は、昭和61年度から住宅に困窮する高齢者を対象に開始し、 平成14年度からは高齢者等入居支援事業も新たに開始しており、平成29年度から、居住支援協議会が本事業の実施主体となっております。
高齢者等アパートあっせん事業については、立ち退きなどにより新たに住宅の確保が必要となった高齢者等の住まいの確保を支援するため、物件情報の提供や仲介手数料の一部助成を行っております。 また、 高齢者等入居支援事業は、高齢者等が賃貸住宅に入居する際の家主の不安を減らし、入居しやすくすることを目的に、家賃等債務保証料の一部助成や単身の高齢者等に対して安否確認を行う「見守りサービス」を提供しています。合わせて、入居者が亡くなってしまった際の事後処理を保証するため、「葬儀の実施」や「残存家財等の撤去」 を実施しております。
高齢者等アパートあっせん事業の実績ですが、令和2年度から順に141件、143件、129件の申請を受け付け、成立件数は、順に105件、98件、88件となっております。その内高齢者世帯は、2年度及び3年度が70件、4年度66件となっております。
先日、区内で不動産業を営む方々と意見交換をする機会がありました。様々な課題、また区政に対するご意見等をお伺いしましたが、やはり高齢者の入居の問題は最も大きい課題であるとの認識を共有しました。誰もが安心して住み続けられる良好な住環境の実現を図るためには、区民、民間事業者等との協働が不可欠です。本区の高齢者等に対する入居支援の取り組みを出来るだけ多くの業界の方々とも共有し、出来るだけ多くの方々からのご協力を得る必要があると思います。
質問6)
これらの区の事業について、区民、不動産業者に対してどのように周知をしているのかお伺いします。
答弁6)
区民に対しては、区及び居住支援協議会ホームページや事業チラシ、各所管のサービス案内冊子のほか、必要に応じて保健福祉部門の窓口で本事業を案内しております。 また、 不動産業者に対しては、 不動産関係団体を通じて加盟店舗に制度を周知しています。
区は、田中前区長の時代に、「10年で1000床増やす」との特別養護老人ホームの増設計画を着実に進め、特養の待機者の状況は大きく改善したものと思います。しかし、区民の平均寿命とともに健康寿命も伸び続けている状況において、逆にお元気な高齢者や介護認定を受けていない方々の安心の住宅確保は、区が乗り越えなければならない重要な課題となっています。
高齢者がいきいきと元気に活動し、孤立することなく、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる体制を整えることは、生活支援・見守り、さらには地域包括ケアシステムにも関わる福祉的側面が強い施策です。都市整備部、保健福祉部がさらなる連携を強め、住宅政策の充実を進めていただきたいと要望し、私の一般質問を終わります。
